《低価格スペインワインのイメージ》
3000円以下のスペインワインが他国に優位である点。それはズバリ『手ごろなのに濃くて飲みごたえがあり美味しい』でしょう。
温暖かつ昼夜の寒暖差があり、乾燥した気候の畑に、樹齢の高い樹がたくさん植わっている。自然と面積当たりの生産量が少なくなり、凝縮した風味のブドウが得られます。乾燥しているため病気のリスクが低く、農薬を使わない栽培を低コストで行えます。そして醸造においては伝統的にしっかりと樽熟成する傾向にあり、口当たりなめらかです。
だから手ごろなワインでも濃くて旨い。
もちろんそうじゃないスペインワインもたくさんありますが、そのイメージは広くあるはずです。そのイメージどおり。いやむしろそのイメージを形作ってきたのが、このボデガス・トリデンテを擁する「ヒル・ファミリー・エステーツ」です。
《生産者について》
ヒル・ファミリーはスペイン各地10の生産地域に11のワイナリーを所有している巨大グループ。数万円の高級ワインを生産する技術を持ちながら、1000円前後の手ごろなワインから安定した品質で幅広く生産している生産者。それぞれのワイナリーブランドが別々なので、「初めて飲むけど好きな味筋だと思ったら、やっぱりヒルファミリーでした」なんてこともあるかも。
フアン・ヒル、アタラヤ、アッテカ、エル・ニド、モルカ、オノロ・ベラ・・・。どれも品種個性やその土地の特徴をしっかり表現した素晴らしいワインです。
《このワインについて》
ボデガス・トリデンテの中でもっともリーズナブルなのがこの「ゴタ・デ・アレーナ」。直訳するなら「砂の雫」で、メーカーHPに記載はありませんが、きっとこのワインをつくる畑の土壌に由来するのでしょう。
紫がかった濃密な色合いで、赤と黒のベリー系の香りがグラスから飛び出します。樽熟成由来でしょうか。杉のような香ばしさ。凝縮感のある果実味は、この価格帯のスペイン赤ワインに対する期待にしっかり応えてくれるもの。1000円台には大衆受けを狙って渋味穏やかにつくるワインが多い中で、このワインは適度にタンニンを持ちます。それもあって価格の割にしっかりと口の中に味わいがとどまります。
Gota de Arena Bodegas Tridente