《新興産地パタゴニア》
「アルゼンチンのピノ・ノワールなんて美味しいの?」そう疑うのは当然の反応です。
アルゼンチンのワインといえば、果実味豊かなマルベックにカベルネ・ソーヴィニヨン。白ならアロマティック品種のトロンテスのイメージ。ピノ・ノワールをつくるには暑すぎるイメージでしょう。
しかしこのボデガ・チャクラがあるのは、アルゼンチンの南端にあるパタゴニア地方。オーストラリアのタスマニア島とともに、南半球で最も赤道から遠く冷涼な地域です。
しかも極めて乾燥した環境です。年間降水量180mmというのは灌漑が必須。ヨーロッパでブドウ栽培のリスクとなるカビや虫などの害がほとんどありません。それがビオディナミによる栽培を可能にしていると言われます。
《生産者について》
ボデガ・チャクラは2004年設立。オーナーのピエロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏は、『サッシカイア』で有名なテヌータ・サン・グイドの創設者マルケーゼ・マリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏の孫息子です。
ニューヨークのブラインドテイスティングイベントで口にしたパタゴニア産ピノ・ノワールに感銘を受け、この地でのワイナリー設立を目指したそうです。
《このワインについて》
「バルダ」はこのワイナリーにとってのエントリークラスであり最も手ごろ。しかしながらそのピノ・ノワールの樹齢は30年以上と決して低くはありません。
その風味は厚ぼったさとは無縁の非常に洗練されたもの。瑞々しいラズベリーやイチゴのアロマに、スミレのようなフローラルなニュアンス。ピュアで透明感のある果実味が広がり、フレッシュな酸味ときめ細かいタンニンがヨーロッパ的なニュアンスを感じさせます。
Barda Pinot Noir Bodega Chacra