プロフェッツ・ロックは、ニュージーランド南端の地、セントラル・オタゴに1999年に創業したワイナリー。
歴史は長くないにもかかわらず、高い評価を受ける理由、そのテロワールと人に迫ります。
「これからのワイン界を担っていく」醸造長 ポール・プジョル
プロフェッツ・ロックのワインの品質には、彼の海外での経験が色濃く影響しています。
ニュージーランド出身ながら、フランス人を父親にもつ彼は、ロワールの名門アンリ・ブルジョワや、アルザスのメゾン・クンツ・バーで修業。
2005年からプロフェッツ・ロックで醸造長を勤める傍ら、2009年はブルゴーニュのドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエでワインを手がけました。
それが縁で、醸造長のフランソワ・ミエ氏と親交を深めました。以来、フランソワ・ミエ氏は年に1,2回プロフェッツ・ロックを訪れ、様々なアドバイスをしているといいます。
シャンボール・ミュジニー村でトップの評価を受けるヴォギュエの手法を取り入れたワインづくりを行っており、ポンプなどの設備も同じものを輸入しているそうです。
2つの異なるテロワール ホームヴィンヤード
ホームヴィンヤード(7.5ha)
標高が320~383mの北向きの斜面にあり(南半球なので北向きが日当たりがいい)夜間は非常に冷え込みます。その厳しい環境が、ワインにフレッシュさと凝縮感をもたらします。
土壌はシスト質、石英質、粘土質が混ざった表土の下に、ピノ・ノワールに理想的な石灰質の土壌があります。
この冷涼な地域に存在する石灰質土壌というのは世界的にみても非常に希少で、ブルゴーニュの他にはドイツの一部とチリのごく一部、そしてこのセントラルオタゴくらいにしかありません。
2つの異なるテロワール ロッキー・ポイント・ヴィンヤード
ロッキー・ポイント・ヴィンヤード(16.5ha)
前面に見えるダンスタン湖に落ちてしまいそうなほどの、急斜面の畑。標高226~351mでホームヴィンヤードよりは低く、収穫も早い。
大きな片岩の石ころが転がる土壌で、ブドウが成長するには厳しい環境だが、それがより凝縮感があり芳醇な果実を生んでいる。岩だらけの地面が日中蓄えた熱を夜間に放出するため、果実の成熟を助けています。
フランソワ・ミエ氏が自ら手掛ける キュベ・オー・アンティポード
フランソワ・ミエ氏はブルゴーニュでは伝説的な醸造家ですが、ヴォギュエでは後進を育てる指導者の立場を担っています。なのでヴォギュエでは氏は極力手を出さない。
そのフランソワ氏が、地球の反対側(オー・アンティポード)で、自らホームヴィンヤードを歩き回って決めた最上のブロック(ミエ・ブロック)のブドウをつかい、自らピジャージュまで行ってつくるのが、このキュベ・オー・アンティポード
ファーストヴィンテージは2015年、年間わずか6樽の生産です。
リリース後10年は熟成可能で、とても長命なワインです。それでいて、ヴォギュエよりはずっと早く楽しめますので、フランソワ・ミエ氏の技を手ごろに手軽に感じることのできるワインだといえるでしょう。
ポール氏「2014年までは、アンティポードのブドウはホームヴィンヤードに入っていたんだから、2014年のホームヴィンヤードはとってもお買い得だよ!」