《近年増してきた値ごろ感》
「レディ・ガッフィ」をつくる生産者として有名なトゥア・リータのスタンダードクラスである「ロッソ・ディ・ノートリ」。今更ご紹介するのがはばかられるほど、日本市場で昔から広く親しまれてきたワインです。
「有名生産者の手頃なクラス」として比較されることの多い、レ・マッキオーレの「ボルゲリ・ロッソ」。ともにかつては2000円台で楽しめていたワインですが、ボルゲリ・ロッソはいまや実売で4000円前後。そのほかのワインも有名どころはどんどん値上がりしています。それゆえ値上げが穏やかなこのワインが、相対的に安く感じ始めてきました。
昔からその美味しさを知っている者としては驚くんです。「え?ロッソ・ディ・ノートリってまだ2000円台半ばにいたの?」と。
《テイスティングノート》
いわゆる「スーパートスカーナ」らしい風味です。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローベースでベリー系の濃厚な果実味。ボルドー的なニュアンスではなく、もっと陽性で豊かな太陽を感じさせるものです。
口に含んでも香りのイメージどおりの濃厚さ。適度でしなやかなタンニンが舌の上を滑ります。その濃厚さゆえに目立ちませんが、きちんとした量の酸味を持つため熟成ポテンシャルがあります。
以前にとある飲食店で10年少々熟成したこのワインを飲んだことがありますが、風味の複雑さと滑らかさ、余韻の広がりが増して素晴らしいワインになっていました。聞けば手頃なのにしっかり熟成することを知っていて、毎年ケース単位で熟成させているとのこと。真似したくなります。
《生産者について》
トスカーナ州において決して有名ではなかったスヴェレートの地。そこからワインスペクテーターとワインアドヴォケイトの両方で100点満点を獲得した「レディ・ガフィ」を生み出す生産者として有名なのが、このトゥア・リタです。
この地は大理石を産出するほど石灰の多い土壌だといいます。ティレニア海からの強い風とワイナリーの東に位置する森の影響など、様々な影響が複雑にからみあって、このワインの美味しさに寄与しています。
Rosso dei Notri Tua Rita