《「初心者向け」オレンジワインの功罪》
ジョージアでつくられるクヴェヴリ熟成のオレンジワインが日本に広まったのは2017年前後あたりからでしょうか。他で見ない土着品種と醸造法から、当初は渋味も個性も強烈なものが多かった印象です。
その反動か、ステンレスタンク発酵・熟成で醸しの期間も短くした、個性を抑えたオレンジワインもたくさんつくられています。渋味はごくわずかでシンプルなフルーツの香り。「オレンジワイン」に不慣れな方でも楽しめるものはたくさんあります。
一方で「じゃあ普通の白ワインでいいじゃん」と、物足りなく感じる方もいるのでは?
このクヴェヴリ熟成のムツヴァネは、しっかりと渋味を感じるフルボディな味わいながらも整った風味で、ワインの個性を大事にする方もしっかり満足させてくれるでしょう。
《テイスティングノート》
開けたての香りは控えめ。アップルティーやドライフラワーなどほのかなものです。しかし口に含むとその風味は豊かに広がり、柑橘類の皮やアーモンドのようなニュアンス。ピリッと口全体を刺激するタンニンが中盤から豊かに広がります。余韻にはうま味を伴った苦みが長く続きます。
《生産者について》
ヴァジスバニ・エステイトは実業家マムカ・カザラゼ氏とバドリ・ジャパリゼ氏によって2013年に設立されたワイナリー。彼らの手による歴史は短いものの、もともとは19世紀にこの地の貴族がワインをつくっていたそうで、ポテンシャルは約束されていたものでした。
ジョージアで最も伝統的な産地であるカヘティにあり、ジョージアの代表的な固有品種を一通り栽培しています。かなりのお金持ちワイナリーだそうで、醸造設備は近代的。ワインの味わいのクリーンさにもそれが表れています。
Vazisbani Estate Kakhuri Mtsvane Qvevri