《このワインについて》
ワインの名前として付けられている「RD = Recemment Degorge レサマン・デゴルジュ」とは、ごく最近澱引きされたという意味。つまり2008年のワインではありますが、出来上がったのはごく最近だということを示しています。
シャンパンはブドウを収穫しベースワインをつくってブレンドしたあと、瓶詰めされて瓶内2時発酵の過程に入ります。一般にその期間は高級ワインほど長くとられます。スタンダードの「グラン・キュヴェ」は3年間。このシャンパンは収穫の翌年に瓶詰されたと仮定すると13年間の長い熟成期間がとられたことになります。(2022年10月デゴルジュマン)。
瓶内2時発酵の間、酵母の死骸である澱(おり)は還元作用を持つので、ワインは非常にフレッシュに保たれます。一方で澱の自己分解によってパンだねやブリオッシュのような熟成香も現れてきます。一見矛盾するような香りが同時に感じられるのが、RDの魅力です。
《生産者について》
ボランジェは1829年創業の、シャンパーニュにおける大手生産者の一つ。本拠地がアイ村であることもあり、ピノ・ノワール比率の高いシャンパンを得意とします。
知名度を高めるのに一役買っているのが、人気アクション映画の「007」シリーズ。1973年の「死ぬのは奴らだ」以降全15作品にわたり、主人公ジェームズ・ボンドが愛飲するシャンパンとして劇中に登場しています。
ワインの特徴として挙げられるのが、創業以来ベースワインを木樽発酵させていること。主流であるステンレスタンクを用いるものと比べ、風味の複雑さとボリューム感を引き出しやすいです。結果としてシャンパンの味わいは、主要シャンパンメゾンのスタンダードクラスの中で比較して、骨格のしっかりとした力強い味わいです。飲みごたえのあるワインが好きで、しかも名前が通っているワインがいいとき、「ボランジェ」はピッタリの選択肢でしょう。
【パーカーポイント98+点】
[ワインアドヴォケイト誌2023年5月のレビュー]
このヴィンテージのボランジェの素晴らしいグランダネを試飲したとき、ヴィンテージのスタイルがこのキュヴェにほぼ完璧に適合していると思われる2008年のエクストラ・ブリュットR・Dがどれほど素晴らしいかを想像しようとした。4年後、その答えが見つかり、このワインは素晴らしいものであった。2022年にリリースされたこのワインは、リリース時のドラマチックなグランダネよりも控えめで、グラスの中では、さわやかな果樹園のフルーツ、オレンジピール、焼きたてのパン、フィノ・シェリーの微妙なヒント、湿った石、マカダミアナッツのノートが解き放たれる。口に含むと、ミディアムからフルボディで、果実の深い核があり、キレのある酸と洗練されたピンポイントのムースによって活かされ、骨抜きにされるような余韻で締めくくられる。非常に調和のとれた、若々しいエネルギーに満ちたこのワインは、この10年で最も素晴らしいR.D.であり、コルクの上でもう少し熟成させることで、豊かな報酬を得ることができるワインである。スタイルとしては、1996年との比較が最も明白だが、2008年の方がリリース時にはより統合され調和している。このボトルは、昨年末に1リットルあたり3グラムのドサージュで出荷された。
[William Kelleyによる試飲 飲み頃予想2025-2045年]
Bollinger RD