《生産者について》
ケープタウンからまっすぐ北へ。シュナン・ブランやローヌ系品種で有名な「スワートランド」という産地。古くてしかし知名度の低かったこの地が、今や世界が注目するワイン産地となったのは、「サディ・ファミリー・ワインズ」のイーベン・サディの功績と言えるかもしれません。
10代のころから15年間ヨーロッパで修行。その後南アフリカのワイナリーで醸造責任者を勤め、1998年にワイナリーを設立し「コルメラ」「パラディウス」を発表するなり、その圧倒的スケール感は世界中の注目を集めました。
南アフリカのレポートで有名なティム・アトキンMWは、ボルドーに倣った独自の格付けでサディを1級に。プラッターズ・ワイン・ガイドは2015年にワイナリー・オブ・ザ・イヤーに選びました。
イーベンは完璧を求める職人気質で、栽培から醸造まで機械化とは無縁のスタイルを貫いています。ワインづくりに情熱を傾ける一方で、サーフィンを楽しむ時間も大切にしており、これ以上生産量を増やす予定はなし。年に1回の入荷がすぐに完売する状況は今後も続く見込みです。
《このワインについて》
スワートランドはあまり大きな街はないのですが、その中では中心地と言えるマルムズベリーから西へ4kmほどのところに畑はあります。
ここで昔から栽培されている「ティンタ・バロッカ」という珍しい品種は、美しい色味と引き締まった酸味を持ち、主にブレンドに使われる品種。果皮が薄く紫外線に弱いブドウなのですが、ブッシュヴァインという仕立てにすることで葉が影となり日焼けを防いでいます。
ピエモンテの上級赤ワインを思わせる風味があると言われています。
畑のそばに古い線路があることから、アフリカーンス語で「鉄道」を意味する「トレインスプール」という名がつけられました。
Sadie Treinspoor