《注目度を増すムニエのシャンパン》
シャンパーニュ地方の主要3品種において、ムニエはシャルドネやピノ・ノワールより劣ったものとして扱われてきました。シャンパーニュで「Grand Cru」表記できるのはシャルドネとピノ・ノワールのみ。安いシャンパンほどムニエ比率が高いことが多く、ブドウ取引価格も違うそうです。
しかしその独特の柔らかい果実味に着目し、ムニエならではの風味を表現しようとする小さな生産者が最近増えています。ベルギー人のマキシム・ユランもその一人です。
《生産者について》
ドメーヌ・ド・マルジリーは「マッシフ・ド・サンティエリー」という、ランスの北西の方にあるエリアにあります。決して有名産地ではありませんが、小規模ながら”イケてる”今風のシャンパンをつくる生産者が出てきている地域です。もともと廃墟となっていた建物と畑を2012年に取得。この地における過去のブドウ栽培を参考に、砂質土壌からつくるムニエのシャンパンに注力します。
地元のオーク樽業者と協力して、ベースワインの熟成に使う樽の選択をマニアックといえるほどこだわっています。しかしそれは樽香を効かせるためではなく、ジャック・セロスのような味わいを目指しているわけでは決してありません。樽熟成の割合は高いのですが、口当たりの厚みがすごいというよりは、美しいミネラル感の表現が見事。飲み込んだ後に香りが鼻を抜けていきます。彼のワインを飲んで、ムニエが劣った安ブドウだと思う人は誰もいないでしょう。
《このワインについて》
LPMとは「ル・プティ・モンターニュ」の意味で、単一区画のムニエ100%でつくるシャンパンです。熟したレモンや洋ナシのアロマ。口に含んだ時の果実味はムニエらしい柔らかさを持ち、滑らかな泡とともにスモーキーな香りが立ち昇ります。心地よい苦みが余韻を強調します。
Domaine de Marzilly Ullens L.P.M