《ヘメル・アン・アードのパイオニア》
南アフリカのワイン産地である西ケープ州は、沿岸を流れる冷たい海流によって、海に近いほど劇的に冷しくなる特徴があります。全体から見るとパワフルなカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズなどが生産の中心ではありますが、ここヘメル・アン・アードは別。海の冷却効果でブルゴーニュ品種に最適な環境となっており、まさに「南アフリカのコート・ドール」と言えます。
ヘルマナスの街近くから谷を遡るように広がるこの産地。その入り口あたりに64haの畑を持つのがハミルトン・ラッセル。この地のパイオニアであり、「南アフリカにも素晴らしいピノ・ノワールがある」と世界に知らしめたワイナリーです。
《生産者について》
ハミルトン・ラッセルの設立は1975年。パイオニアであるということは、畑に植わっているブドウの樹齢がこの地で最も高いことを意味します。それが「南アフリカにおける最高峰のワイナリーの一つ」というポジションを確たるものにしています。
「ハミルトン・ラッセル」ブランドは品質を追求した高級品。例えば2022年のピノ・ノワールの収量は16.18hl/haと、ブルゴーニュの特級畑の規定を大きく下回る超低収量です。価格の高さの大きな要因です。
一方で手ごろなワインのブランドとして、「Southern Right」や「Ashbourne」なども展開しています。
《テイスティングノート》
シャルドネは南アフリカ各地で栽培されてはいますが、ヘメル・アン・アードのものは明白に高級指向です。この地域の中で比較したときも、ハミルトン・ラッセルがつくるものはリッチな樽香が強めで高級感のある味筋です。
レモンや桃、バナナのようなフルーツが豊かに香り、ヴァニラやココナッツのような樽香とともに漂います。ジューシーでフレッシュな果実感を持ち、余韻には上品な花のニュアンスが広がります。
「南アフリカ産シャルドネ」という括りでは高価な部類ですが、ヘメル・アン・アードに限って比較するなら「コスパがいい」と言えるでしょう。
Hamilton Russell Chardonnay