時代の流れを読み、いち早く改革を行ったビーズ家


シモン・ビーズは、1880年に創立した歴史あるドメーヌ。ビーズ家は19世紀初めに現在のイタリア国境沿いにあるサヴォア地方から、ブルゴーニュのサヴィニー村に移住しました。
初代シモン氏は、「人間、飲むものと食べるものさえあれば生きていける」という考えから、ワイン用ブドウの栽培と肉屋をスタート。
2代目シモン氏のころは、戦争の時代。2度にわたる大戦で男手は常に戦地にありました。 そのため、2代目シモン氏の妻が事実上ドメーヌと肉屋を切り盛り。彼女は初代の信念を全うし、サヴィニー村の人々にワインと肉を分け与えていたそうです。
そんな彼女には2人の息子がおり、長男は当時家業の柱であった肉屋を、次男にはブドウ畑を継がせました。この次男、3代目シモン氏は、ビーズ家に次々と大改革を行いました。

歴史的な変革


ブルゴーニュにおける歴史的な変革のひとつは、トラクターの登場。以前は大人一人が一日にで耕すことができる面積、1ウーヴレ(約24分の1ヘクタール)しか仕事は進みませんでした。ところがトラクターの登場によって一日で数ヘクタールも可能に。

もうひとつ大きな改革は、ドメーヌ元詰めです。
これまで、ビン詰めをするのはネゴシアンの仕事でした。農家はネゴシアンの言いなりの価格でブドウ、あるいはワインを樽で売っていました。
たとえ質の良いブドウ、ワインを造ってもネゴシアンの買い付け価格に反映されることはなかったため、品質が向上することはありませんでした。
そんなネゴシアンに反発し、自分たちでビン詰めし、オリジナルのラベルを貼って販売する農家が現れました。

美味しくなければ売れないし、その責任は自分たちに返ってくる。
この2つの改革によって、ブルゴーニュワインは今の形になり、美味しさが格段に飛躍しました。
この2大改革を、サヴィニー村で最も早くから行ったのが、3代目シモン氏でした。

4代目のパトリック氏は、ブドウ畑を拡張。1995年にラトリシエール・シャンベルタン、1997年にコルトン・シャルルマーニュと、2つの偉大なグラン・クリュが、シモンビーズのラインナップに加わりました。

いずれもメタイヤージュ(代行栽培)ながら、特にラトリシエール・シャンベルタンは、著名なワイン評論家のロバート・パーカー氏が「驚くほどの熟成ポテンシャルを持った古典的なワイン」と評価するなど、品質の高さはお墨付き。そんなパトリック氏は、フランス農業銀行で働いていた日本人女性の旧姓伊藤千砂女史と結婚。
結婚後、銀行時代に培った知識と語学力で夫をサポートし、販路を海外に広げるなど、ドメーヌの更なる飛躍に貢献しました。

ビーズ家の伝統を守りながら、新しい試みへの挑戦。 初めて女性が経営するドメーヌとなった、新生シモン・ビーズ。


2013年にパトリック氏の妻、千砂・ビーズ女史とパトリック氏の妹で三女のマリエル・グリヴォ女史のふたりでシモン・ビーズの5代目に就任。
マリエル女史はヴォーヌ・ロマネの名門ジャン・グリヴォの当主エティエンヌ・グリヴォに嫁ぎワインに詳しく、嫁ぐ前からパトリックと一緒にドメーヌの仕事をしていました。
また千砂・ビーズ女史はマダムとしてドメーヌを熟知しており、こうしてシモン・ビーズは初めて女性が経営するドメーヌとなりました。

ビオディナミの勉強会に参加していた千砂・ビーズ女史の進言により、2008年からビオディナミ農法を一級畑レ・セルパンティエールの畑で導入。

「2008年からワインにヴァーティカルなラインが出て、緊張感のあるワインになった。」と、彼女は語っています。
当主となった2013年以降、ビーズ家のフラッグシップ、オー・ヴェルジュレスの畑でもビオディナミ的な農法の導入開始するなど少しづつ広げています。 ワイン造りは、茎や種もまるごと一緒に発酵樽に仕込む全房仕込がビーズ家の伝統。醸造についても高い目標とこだわりを持つシモン・ビーズ。白ワインについては、ブドウの熟度と酸度の完璧なバランスに近づける事、赤ワインについては、テロワールを体現した緻密で繊細なワインを造る事を大切にしているそう。

ブドウはすべて手摘みにて収穫。
白ワインの醸造は、ブドウを収穫後、ただちに圧搾し12時間のデブルバージュ(沈殿)。小樽に移して発酵、6~12ヵ月の樽熟成を行います。
プルミエ・クリュやグラン・クリュでは複雑味を持たせるため、さらに数ヵ月熟成。 新樽率は15~30%と比較的少なめで、古い樽は5年ものまで使用しています。
赤ワインの醸造は古典的な醸造方法を採用しており、あのDRCやプリューレ・ロックなど、世界的に有名なブルゴーニュの造り手と同じく収穫したブドウは基本的に100%全房発酵させます。
その際、テロワールの個性を活かした繊細さとエレガンスを損なわないよう強い圧搾はせず、出来るだけ柔らかくプレス。木製タンクにて発酵、その後オーク樽熟成を行います。無濾過にてビン詰めを行い、極力ブドウ本来の味わいとテロワールの個性を体現したワインに仕上がっています。

先祖代々受け継がれた畑に愛着を抱き、先代の造りを守りながらも、新しいことに挑戦しながら今後さらなる飛躍を目指しワイン造りに取り組んでいます。

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