ワインの楽しみ方ガイド

料理とワインの美味しい関係 マリアージュの魅力に迫る!

2019年7月21日

「お肉には赤ワイン、魚には白ワイン」
「この料理にあうワインは?」
 
近年、料理を食べながらワインを飲むという光景が、日本でも珍しくなくなってきました。
料理とワインに「相性」があるというのも、随分認知されてきたと感じます。
 
ワインと料理の美味しい関係のことを、「マリアージュ」と呼びます。
 
ワインと料理が「マリアージュ」しているとは、どういう状態のことを言うのでしょうか。
「今日買ったこのワイン、どんな料理と飲んだらいいんだろう?」そんなときはどのように考えたらいいのでしょうか?
 
マリアージュを考える上での大切なポイントは3つ。
 
①同調のマリアージュ
②中和のマリアージュ
③補完のマリアージュ
 
今回はこの3つのポイントを軸に、理論的にマリアージュを考えるための基礎をご紹介します。
 

ワインと料理が「合っている」とは?

まず最初に、ワインと料理を「マリアージュ」させるのは、思っているよりも難しいです。
「Mariage」という言葉は、フランス語で「結婚」という意味です。
結婚というのは、一部の地域を除き1対1の関係。
だからこそ「運命の出会い」なんて呼んだりするのです。
 
ワインと料理も、厳密にマリアージュさせるのはなかなか大変。
例えば「この赤ワインにはステーキが合います」というオススメをしたりしますが、厳密にいうと随分あいまいな「合います」です。
ステーキと言っても、和牛でしょうか。オージービーフでしょうか。
ランプ肉でしょうか。サーロイン、フィレ?部位によって、脂身の量は変わるので、ピッタリのワインも変わってきます。
ソースによっても味わいは大きく変化します。付け合わせもまた重要です。
 
ワインの方も変化します。
ヴィンテージの特徴は?熟成度合いは?
どんな温度で飲むか、どんなグラスで飲むかでも味わいは変わります。
 
そんな無限ともいえる組み合わせの中から、知識と経験に基づいてお客様に喜んでもらえるものを選ぶ。
それがソムリエの重要な仕事の一つであり、ワインの専門職たりえる理由なのです。
 
腕のいいソムリエがシェフとともに作り上げるマリアージュ。
なかなか体験できないからこそ「あ~ワインが飲めてよかった」という感動があります。
 
料理を口に運ぶ。咀嚼し飲み込んだらすぐにワインを口に含む。
まだ口の中にあるうちにワインを飲んでもいい。
 
ワインと料理がマリアージュしているなら、料理単体で食べた時よりも、料理がおいしく感じます。
ワインを飲み込んだ後にも、ハッキリとその料理の味わいが感じられます。
料理を食べたらそのワインが飲みたくなる。ワインを飲んだらすぐまたもう一口食べたくなる。
 
気づいたら料理もワインもなくなっているのが、ワインと料理がマリアージュしている状態です。
 
「料理にワインが合うっていうけど、よくわからない」
「結局、人の好みじゃないの?」
そんな話を聞くこともありますが、そんな人はバッチリのマリアージュを経験していないだけ。
好み嗜好の如何に関わらず、心を揺り動かすのがマリアージュです。
 
そんなマリアージュの関係は、「カギとカギ穴」と表現されます。
それだけ、ピッタリ合わせるのは難しいということ。
「ご家庭で手軽に完璧なマリアージュを」というのは、なかなか困難なのです。
そこまで厳密ではない、ちょっとあいまいさを含む表現として「フードペアリング」と言われることもあります。
 
ご家庭で楽しむ分には、そんなに「100%のマリアージュを」なんて難しく考えなくていいでしょう。
マリアージュを考える上でのポイントを抑えるだけでも、「今日はお酒が進むな~」というふうに料理に合わせることはできます。
 
ではどんなものが、「合う」のでしょうか。

①同調のマリアージュ

一番なじみの深い、わかりやすいマリアージュが、この同調のマリアージュです。「調和」ということもできます。
 
簡単に言うと「似た者同士は仲がいい」ということです。
ワインと料理、お互いの風味が寄り添うことで、より長い余韻を楽しむことができます。
 
ハーブの風味のあるワインに、タイムやオレガノを使った料理を合わせる。
ベリーソースをかけたお肉料理には、ベリーの果実味豊かな赤ワインがしっくりくる。
 
こういった合わせ方です。
 
このマリアージュを探すうえでは、香りを感じることが非常に大切。
白ワインからグレープフルーツのようなかんきつ系の風味を感じたなら、サラダやカルパッチョにお酢の代わりにレモンを絞ってみる。
 
赤ワインからスモーキーな風味を感じたなら、お肉を焼くときに強火で少し焦げ目をつけてみる。
 
そんなひと工夫で、料理がぐっとワインに寄り添ってくれます。

②中和のマリアージュ

肉料理と赤ワインのマリアージュがまさにこれ。
 
赤ワインの渋味のもと、タンニンはお肉の中の脂質と結合します。
なのでステーキを食べたながら赤ワインを飲むと、口の中がさっぱりするので食が進むのです。
 
子羊のローストと、ボルドー、特にポイヤックで作られるカベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワインは、見事に中和のマリアージュを見せてくれます。
 
ご家庭で試すなら、牛バラ肉やカルビなど脂身の多い部位で。
ぜひ、お肉を食べた後、水を飲むのと比べてみてください。
 
水を飲んでも、口内の脂はなかなかスッキリしません。
ワインだけで飲むと「ちょっと渋すぎるかな」くらいの赤ワインを飲むと、口の中がさっぱりしてまたお肉が食べたくなるだけでなく、ワインもまろやかに感じるでしょう。
 
 
中和のマリアージュは、バランスが大切。
 
脂身が多いお肉には、渋さの強いワインを。
 
さっぱりとしたお肉なら、渋さが程よいワインを選ぶ、といった具合に。

③補完のマリアージュ

味わいの五味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)がバランスよくそろうことで、味わいがより立体的になり深みを増すマリアージュです。
苦味はさほど必要ではありませんので、それ以外の4つの味のバランスが重要です。
 
最も分かりやすいのが、ブルーチーズとデザートワインのマリアージュ。
 
ゴルゴンゾーラのようなブルーチーズは、強烈な風味が特徴ですが、味わいとしては塩味と旨味が突出しています。
これに貴腐ワインのような極甘口のデザートワインを合わせます。
デザートワインは甘さに注目しがちですが、実は酸味も高いのです。
これで、塩味・旨味+甘味・酸味がそろって、見事なマリアージュが楽しめます。